米中関係が複雑化、かつ硬直化の深度を急速にしつつある。
2020年7月24日にポンペイオ国務長官が、中国へ向け宣戦布告とも取れる歴史的な演説を行った。
今から50年前に貧しい中国へ資本主義の優位性を教え豊かさを覚えさせれば、冷戦中のソ連から自立し、自由陣営の元へ来るだろうと言うニクソンの政策が間違いであったことを指摘し、彼の名前を戴いた記念図書館で、象徴的にこれを終了させると宣言したのである。
今回のアメリカによる駐ヒューストン中国領事館閉鎖命令を皮切りに、加速化する米国の中国に対する強硬姿勢の根拠と背景を図るべく色々と調べてみたところ、私が持っていた国際関係の礼節や常識の範疇を遥かに超えて繰り広げられていた様々な出来事が、45度くらい斜め上から見えない左フックを食らったくらいの衝撃で、今から救急車呼ぶからちょっと待って、と言うくらいの事態だったのでここに真相を分析してみようと思う。
事の発端は、まだまだ我々の記憶に新しいBLM、即ちBlack lives matterのデモの最中に掠奪と暴力を行使した現行犯で、3人の中国人留学生がカリフォルニア州のサンタモニカで逮捕された所から始まる。
この辺りの経緯はフランスのRFIが6月2日に報道しているので詳細は割愛するが、警察による取り調べが進み、彼らが
【愛国心と忠誠を貫き、中国および中国共産党への新たな貢献の為、BLMのデモに合流し黒人と共に、掠奪と暴力行為の扇動をするよう中国領事館から指示されて現場へ赴いた】
事を自供した事実が判明した。
そして実際に他州でデモを扇動した一部の中国人留学生が、略奪をしたGucciやLouis Vuitton製のバッグを誇らしげにツイッターへ投稿している。
「デモを煽って、アメリカを第二の香港にする。そして漁夫の利を得る。」
「私は中国共産党と祖国(中国)が大好きだ、米国は中国に莫大な借金がある。これくらいの物を頂いたとしてもなんの問題もない。」
これが事実であれば、先のBlack lives matter運動に侵入してデモの暴徒化を煽り、中国共産党が米国社会の安保に揺さぶりをかけるべく積極的な工作を企て実行していた事となり、内政干渉甚だしいその試みや事実は、米国社会、とりわけトランプ政権にとっての衝撃が相当な物であったであろうことが想像に難しくない。
前出の中共によるこれらの工作を裏付ける決定的な証拠として、2020年5月31日にワシントンD.C.セントジョーンズ教会の放火暴力デモの直後に、中国製メッセンジャーWeChatの中国大使館職員団体トーク部屋で交わされたやりとりが、民主化支持者の手によって提供され、世に流出してしまう。
「おい!誰が現場で中国語で会話しろと言ったんだ、デモ工作が終わり次第、静かに撤退することになっていただろ?」
「全くだ、あんなにデカい声で喋るなんて!今アメリカ全土にすごい速度で動画が拡散されている」
「現場には張武官も参加していたのに、全員組織の規律を守らないと!」
と言った具合だが、現場の緊迫感が生々しい。
そして事実、同名の張と言う武官は、タイの中国大使館からワシントンD.Cへ配属となった人物で存在すると言う。
暴力デモの扇動を初め、米国社会への工作の拠点である領事館閉鎖は、中国の横暴をこれ以上看過しないと言う、世界へ向けた米政府の強力なメッセージとなった。
実は中国共産党の思想とバックボーンを海外に知らしめるために設立された、「孔子学院」という組織が世界中に点在する。
アメリカではすでにこの組織を中国共産党スパイの総本山として撲滅にかかっているが、表向きは非営利の教育団体として、中国からの留学生の斡旋および、中国共産党の印象操作を目的としたカリキュラムの採用を対価として、国家予算から捻出する寄付金を各教育機関にばら撒く、と言った手法で世界各国、特に教育機関に浸透している。
その数は世界中の都市、大学で約400カ所にのぼり、組織を維持する学校には今でも留学生の斡旋から、国費支援を継続しているが、
具体的に
数ヶ月から一年の無償中国短期留学、語学研修機会の提供を通じ、これらの制度を利用した学生や政府人事に中共思想を注入し、親中人事を養成。
現地中国人留学生を動員し、工作活動を指揮する、と言った活動の拠点となっている。
孔子学院とは名ばかりで、肝腎要の孔子本人の研究に関しては当時のブルジョワと切り捨て割愛する時間が短く、実際のカリキュラムは毛沢東思想の注入であることが参加した筋から確認されている。
韓国でも昨年、韓国外国語大学、漢陽大学で香港デモを支持する韓国人学生に中国人留学生が50名ほど徒党を組み集団リンチを行い、該当する構内掲示板へ口にするのも憚れる罵詈雑言を書き殴る事で破損し、大きな問題となった。
米国でも韓国でも、このような暴力的かつ政治的な活動に動員された中国人留学生は、駐在国中国大使館の体系的な管理、統制を受けた共産党のセル組織の一員として活動しており、ほぼ全ての活動は中国本国の指示、幇助の元に組織的に執り行われている。
そして当然、インターネットの掲示板やSNSなどのツールを駆使して、中国、共産党礼讃を目的にその国の世論操作にも干渉し始めている事などは、公然の事実である。
中国の暴挙はこれらに留まらず、留学生や、研究者による国家プロジェクト級の重要な研究成果、軍事、先端技術、技術人材の盗用などが含まれており、こちらはさらに大規模な法律違反と、対象国に対する莫大な国益の損害を発生させているが、その都度外交官特権のない民間人や軍人を領事館へ匿い、身分を洗濯して中国本土へ逃してきた経緯がある。
中共の侵入はアメリカ、韓国、日本などの先進国はもちろん、もはや支配への野望を隠そうともしないアフリカ諸国などへの浸透、干渉も例外ではない。
これらの事実が積み重なって、ついにアメリカの堪忍袋の尾が切れたと言うのがことの真相であり、今後受けた不利益以上のさらなる制裁が、第二、第三と中国を待ち受けている事は間違いない。
人口3億6000万のアメリカで、中国人留学生が37万人、その上さらに専門的な職業スパイの活動を合算すると国家安保が根本的に揺らぐため、利害のうちの害が利を超え、これ以上中共の暗躍を容認しないという強い意思が今回の領事館閉鎖の発端なのである。
ネット聴講生留学生ビザ発給停止とか完全に中国のトバッチリだよね。
初めはサンフランシスコ領事館を封鎖する予定だったのが、同市には中国人口が多いため領事業務に支障が出ると判断して、今回は象徴的な意味で米中国交正常化後第一号の領事館であるヒューストンを閉鎖することに決めたというが、中国の対抗措置を受けて、本命のサンフランシスコ含め今後もどんどんとドミノ的に国交の門が閉じていくのは火を見るよりも明らかである。
中国共産党は現在、11月の大統領選挙を見据えて米国内の世論操作と干渉を通じ、共和党政権から民主党政権へのバトンタッチを促しているようだが、残念がらコト中国問題に関してだけは共和、民主両党共に、超党派で危機感を共有しており、バイデンに政権が移ったとしてもしばらくこの強行路線が緩む気配がない。
自国民や少数民族への人権弾圧、圧政を含め、今や全世界の脅威となった中国共産党の暴挙を止めるタイミングがあるとすれば、ポンペイオが言うように今がギリギリの瀬戸際で他にない。
ロシアみたいな経済封鎖やシーレーンへの軍事的なプレッシャーなど使える手段は総動員して、これを機にぐうの音も出せないぐらいに押さえ込み、なんなら習近平を筆頭に中国共産党のレジームチェンジに合わせて中国自体の民主化まで達成して欲しい。
そうなれば北朝鮮問題も自動的に解決し、常識からかけ離れて横暴に振る舞う共産主義のスタープレーヤー?が一つ減り、極東も世界もさらに平和になる。
激化必至の米中関係、今後繰り広げられるであろう予想外の展開からまだまだ目が離せないが、凶暴なくまのプーさん 習近平はさっさと白旗をあげて、自ら世界平和に貢献して欲しいものである。
米国反撃の第二幕、乞うご期待。